高校作文教育研究会の再出発
1998年に我々高作研が発足してから20年、2016年には『「聞き書き」の力』を大修館書店より刊行し、活動の成果を一応形にすることができました。
一区切りついたところで、昨年の秋以降半年ほど、今後の方針を巡って、運営委員で話し合いを続けてきました。
高校3年間を貫くような指導体系、基礎となる経験作文の意味や諸問題、高校段階のゴールとしての論理的な文章の意味や諸問題、そうしたことをテーマにして、共同研究を重ねていきたいと思います。
以下、5月例会は、そうした方針をもっての最初の例会になります。
高校作文教育研究会5月例会
2つの報告と討議があります。
1つめは、古宇田さんによる、表現指導の入門期の指導についての報告です。
入門期の指導は重要です。
始まりがその後のすべてを決めるからです。
どういう考えで、どういう指導をしていったらよいのでしょうか。
それを古宇田さん自身の若かりし日の実践を題材にして検討します。
古宇田さんは、長く日本作文の会の常任委員を務めてきました。
その古宇田さんの「初心」が聞ける貴重な機会になると思います。
2つめは、中井さんによる意見文、小論文の指導の実践報告です。
クラブや部活、文化祭や体育祭などの行事作文や、それに関する意見文はよく書かれていると思います。
そこには様々な問題が出てきますが、本来はどういう観点からの、どういった指導が必要でしょうか。
それを検討したいと思います。
中井さんは、『日本語論理トレーニング』や『脱マニュアル小論文』などの著書があり、そのエッセンスを聞く機会です。
みなさんにとって、すぐに参考にして授業に生かしていただけるとともに、表現指導をさらに本質的に考えていくヒントにもなると思います。
どうぞ、みなさん、おいでください。
1 期 日 2018年5月27日(日)13:00~16:30
2 会 場 鶏鳴学園
〒113-0034 東京都文京区湯島1-3-6 Uビル7F
ホームページ https://www.keimei-kokugo.net/
3 報告の内容
(1) 初めての実践「今でも忘れられないことを、出来事の通りに、詳しく書いてみよう」を書かせた時のこと
茨城 古宇田栄子
1973年、教師2年目で初めてやった作文の授業を報告します。
当時、班日誌の指導に行き詰まっていた私は、「あったことをあったとおりに、事柄を押さえながら詳しく書いていく展開的過去形表現」の方法で、
「長い間の生活の中で、今でも忘れられないある日ある時のことで
喜んだり 悲しんだり 苦しんだり 腹立ったりしたことなどを
よく思いだして、時間の順序に生き生きと書く。」(高校2年)
を指導しました。
その時生まれた生徒作品「私の胸に輝く日々」が今でも私を励ましてくれます。
事柄をふまえて書くこと、がすべての文章表現指導の始まりであると思います。
自分が書きたいことは何か、を考えさせること。
事柄をふまえて書く、詳しく書くということはどういうことか。
誰でも実践できる入門期の指導をやさしく詳しく報告するとともに、それが若い先生たちと今時の生徒たちに通用するのか、どう役立たせることができるのか、を皆さんとともに考えたいと思います。
(2) 個人の問題と組織(ルール)の問題
東京 鶏鳴学園 中井浩一
鶏鳴学園の中高生は作文の題材として、クラブや部活、文化祭や体育祭などでの運営面の諸問題をよく書いてくる。
しかし読んでいておかしいと思うことが多い。
組織の問題であるにも関わらず、個人の問題ばかりが取り上げられて、組織(ルール)が問われることがほとんどない。
現在の学校では、どうもこのルールに大きな問題があるようなのだ。
鶏鳴学園では、組織のルールと個人の関係を整理し、生徒には問題への原則を提案し、それに基づいた問題解決をうながしている。
昨年秋の高校2年生への意見文とこの春の小論文講習での指導から、生徒の認識の深まりや、実際の活動や考え方の変化を報告したい。
意見文や小論文指導の意義や役割についても考えてみたい。
4 参加費 1,000円(会員無料)
5 参加をご希望の方は、下記、お問い合わせフォームにて、開催日の一週間前までにお申し込みください。
https://keimei-kokugo.sakura.ne.jp/sakubun-contact/postmail.html